侵食/よしおかさくら
 

数年ぶりに帰った淡路は
侵食されていた
土曜日の昼間
人影は少なく
植物だけが

コンクリートの小さな隙間の雑草
庭先の草花
棚田の周りの雑草
貯水池の緑の縁どり
道路の両側の雑草
川の両側、中洲の雑草
至る所が緑に彩られ
山の木々にも蔓が絡み付き
増えて増えて
塀を二重三重に覆う
玉葱の収穫に忙しいのか
人間たちは
除草しようとはしない
むしろ
育つのを見守っているのではないか
二酸化炭素削減を意識するわけでもなく
緑化して日差しをやり過ごす為でもなく

どこを見ても緑色が覗き
風にさやさやと応え
道を
農民車がいかにものんびりと通って行った
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