五月/
小禽
あなたをここへ連れて来たら
音の消えたような顔をして
この景色を見るのでしょう
冷たい色の澄んだ眼で
じっと見つめているのでしょう
そのうちに私は
あなたの瞳とこの場所が
どちらがどちらなのか
わからなくなっていくのです
子供の手にとった宝石のように
あまりに透き通ったものが
溢れて
肌に吹く五月の風を受けながら
私はそれを見ています
じっと黙って見ています
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