そもそも/高杉芹香
道行く中
片方の目にかかった伸びた前髪の
その隙間から
思いっきり白けたムードで視線を飛ばす
誰に対してでも
何に対してでもないんだよ
ほんのちょっと
笑顔でいるのが面倒だっただけさ
今日が何月何日でもよくって
ぼくがぼくでなければよかったのに
帰途に着く流れと逆走して
ぼくはまた今日という日がわからなくなる
誰のための今日を生きているのかわからなくなる
切望してることはただひとつ
きみに会いたい
会いたいと言えない今日がまた過ぎて
ぼくはまたきっと
明日を不意に
そもそも
ぼくは誰だ
そもそも
きみは
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