五月の鷹/石瀬琳々
っと留まる事も
あなたを待つ事もできる
誠実なガウェインよ
その夢に私はいるだろうか
ひとときの花に漂う心と知りながら
私をとらえてはなさない蜜だ
ちょうど深い湖に影が映るように
いつまでも旋回してやまない夢だ
あるいはこうして草原を飛んでゆくように
私はこの声であなたを呼び覚ます事ができる
あなたの耳に届くようにただ一度
そのひと声を今啼こう
夢の中の夢で重なる事があるだろうか
あなたの時と私の時
ガウェインよ
その時は翼を広げて飛んでゆこう
夜のドレープが消え入る前に
まだ青い地平線の彼方へ
[グループ]
戻る 編 削 Point(16)