ハーモニクスフォルテシモ/ae96
ディラン・トマスに憧れて
「 ハーモニクスフォルテシモ 」
光が沈黙する夜
月はカラスとなり
蔓延する本能の炎に
飽和した自由は焼かれ
僕はそれを咀嚼しきれずに
躊躇いがちな溜息と共に堪らず吐き出したのだ。
その自由の残骸は
剥き出しの大地に
唾液に塗れたまま転がり
風化をただ待つのだ。
それが
転がりゆく運命だろうが
砕け散る偶然だろうが
贖えぬ宿命だろうが
授かり賜うた使命だろうが
ただひたすら待つのだ。
朽ち果てゆく世界で最も美しい風化を待つのだ。
無音の
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