かなしみにしずむ/春日
息つぎは上手じゃなかった
あるものないもの欲しがって
白く滲んだ指の隙間から
空をめがけて投げてばかりいた
例えば優しくしたくって
だれかに優しくしてほしくって
地球が消えてしまうまでにしたいこと
わたしが死んでしまったときに
お葬式に来てくれる人のにんずう
多ければ多いほどいいなと思ってた
なんにもいらないふりをしたり
なにかを諦めたふりをするのは得意なんだ
どこへ行けば飛べるのかなんか知らない
でも死ぬまでに
終わりかけの地球を見ることができたら
きっとそれを幸せっていうんだろ
携帯電話のアラームは設定されっぱなし
五分ごとにわたしに告げるのが
夜があけるまでの時間じゃなく
終わるまでの時間なら
今夜もそうして眠れない
青の濃度はそうして高まっていって
どんどん酸素は薄くなってゆくのに
まだしゃべりたいことがたくさんあるんだ
さよならをいったひとを思い出して
ごめんねとかありがとうとか
今一度呟いてみて
おやすみ、
わたしは夜に溶けてく
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