夏至/モリマサ公
葉っぱたちのとがったきっさきをさっきから風がはげしくゆらして
じべたに並べられた各種弾頭のことを考える
雨上がりのひんやりとしたゼリーのような中を
ゆっくりと自由に空気を押しながら
あたしは記憶や文字のようになってそこにもここにもしみだしている
血のでない体をずるっとひきずって
顔の無い記号のような
鳥が飛び立つ時の感覚で
体から皮膚がうすくはがれて空のように広がる
ビルの内側の石綿の天井やカベの記憶
しらない大勢の男達の汗
ベージュ色のグライダーがすいっとよこぎり無音で
そのよこを風車が汗ばんだようにぐるぐるとまわっている
ここは国境じゃないし
あたしは自分の国を捨て
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