水の空席/若原光彦
 
 カメラに向かい
 天気図を背にして
「午後から雨になります」
 と伝え
 小さく頭を下げ
 辞表を提出し
 その日の午後
 先生は雨になった
 
 それは小さな雨だったが
 傘を持たなかった者を
 したたかに罰した
 (私も 彼も)
 
 それは小さな雨だったが
 だからこそ跡に
 くっきりと虹を残した
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