胸の上で、/rabbitfighter
 
仰向けになった僕の胸に、女がうつぶせていた。二人は裸で、繋がったままでいるから、少し動くたびに、女は小さくため息をこぼした。キスをするとその湿った息で、重たくないかと聞かれた。大丈夫、胸の上で寝かせるのには慣れているんだと僕は言う。潰れた女の乳房が僕の胸を圧迫していて、それはトーストパンの上でやわらかくなった黄色いバターを思わせた。もう少し熱くなれば融けだして黄金色に染み込みそうな。肩の辺りに頬を乗せて、女はもう長いあいだ喋ろうとはしない。僕の指の間で流れる髪の毛の甘いにおい、その奥のほうで、何を思うのか、僕にはわからない。繋がったままでいても尚、肝心なところは閉じたまま、僕たちは夜を持て余す。で
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