燃える蟲/ANA
ゆうこときかない言葉達が
もぞもぞ私の頭を這い回ったあげく
ついに耳の穴から噴出されてった
そのままびゅーんと飛び交って
空を舞い
遠くまで飛んでった
今銀河のはじっこで
蛍と一緒に宇宙遊泳中
やっぱり手放してしまったナ
でも後悔はしていない
いえなかった気持ち
ひとつの炎
いわなかった嘘
ひとつの灯火
言葉は輪をつくって長い夜に怪しく燃え浮ぶ
きっと明日の朝には成仏できはず
いつだっていえないことのほうが
いえることより価値があるのさ
しかし想いだけが不完全燃焼
いつだっていいたいことは伝わらない
伝わることより真実味があるからさ
しかしこんなにもやるせない
わだかまり
夏の虫になって
飛び込んでしまえ
火の中
君の中
宇宙の中
見つけた一匹の蛍の死骸に花びらをのせ
私はライターで火をつけた
燃えてしまった言葉達に墓はいらない
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