もう誰のものでもない/ブライアン
 
世界を足し算した同級生に子供が生まれた。
空という名前をつけた長男に対して、海という名前をもらえなかった次男

<今だって世界を足し算しているはずなのに>

空の果ての果てまで行くには、
飛行機では届かないよ、
と、次男の足音が追いかけてくる。

<次男が鳴らす足音は、世界の重力のためだった>

空は、浮いている飛行船を見て、
空の果てまでいけそうだ、
と、同じ事を繰り返している。

<繰り返された世界は足し算を続ける>

 小学生の頃、握り締めたままになった架空のゴムは、
 今だって、握り締めたままだ。

どうしたらいい?
と、空は父にたずねる
<それ
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