「 ムーフールー。 」/PULL.
 

「るぅー。」
 振り返ると坂の上から、わたしたちを見下ろすように月が昇り、ゆるゆると眼を開ける、ぽぅっとした月明かりがあたりを照らし、それを合図にしてぽつぽつと、街に明かりが灯ってゆく、
「るぅーるぅうーぃ。」
 ムーフールーが泣いている、
「るぅーぃ。」
 泣き声が風に乗り、坂の上の月をまあるく撫でて、夜の瞼の向こうに広がってゆく、わたしはムーフールーを抱き上げて、くしゅくしゅしたほっぺたに頬ずりをする。












           了。


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