「 ムーフールー。 」/
PULL.
「るぅー。」
振り返ると坂の上から、わたしたちを見下ろすように月が昇り、ゆるゆると眼を開ける、ぽぅっとした月明かりがあたりを照らし、それを合図にしてぽつぽつと、街に明かりが灯ってゆく、
「るぅーるぅうーぃ。」
ムーフールーが泣いている、
「るぅーぃ。」
泣き声が風に乗り、坂の上の月をまあるく撫でて、夜の瞼の向こうに広がってゆく、わたしはムーフールーを抱き上げて、くしゅくしゅしたほっぺたに頬ずりをする。
了。
戻る
編
削
Point
(4)