タナバタブルー/くれいじー・こすぎ
アイを愛してしまうようになりたいアツシは
織姫様なんかいるわけがないと思いながら
ふてくされながら毎日必死で生きてきた
電車の中で座り込んでは携帯を眺めて
飲み会の誘いを断っては
スポーツクラブに行くと息巻いて
満たされていない自分を毎日再確認していた
2007年7月7日 午後7時77分
誰の声も届かない個室に座ったアツシ達
最初のとりあえず生を口に運ぶ
扉が開く
1人の女性が10分遅れで到着
薄手のブラウンのワンピースを着たその人はアイと名乗った
アツシは初対面なのに妙に気が合う雰囲気に
徐々にアイと打ち解けたいと願う
距離が縮まっていくのを
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