モグラになりたい/おるふぇ
 
(土のなかで、言葉をもたずひっそりと暮らし、日の目をみるのを恐れたまま、やがてねむりに就く生きもの)


今朝は、
泥酔したまま眠りこけた昨夜の愚態を、必死にまたは朦朧と、思い出そうとしていた
隣の大人(体つきから推測すると成人しているようにみえる)は乱れた衣服を、あられもなくはだけさせながら、いまだ深寝しているのだろう
小さないびきは、ささやかに空気をふるわせ、公害と呼ぶには及ばないまでも、いささか、場の鎮静を乱している


朝はいつもささやかだ
そう誰もに
訪れる不思議なループだ
この日を怖れ
この日を頼み
不可抵力のままにやって来る
朝という時間
人はまた

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