暗い森の童話/水島芳野
生温かい涙が頬を伝う
これは諦めであり、決意でもある。
冴えた月のさきが
零れだす嗚咽をさめざめと照らし出し
あなたはこんな暗い森に置き去り。
ヘンゼルが、白い石を指差す時間
あなたは一体どこにいるんだろう
空が星が風が
あなたを救わず佇む夜も
私はあなたを想っていた
でもきっとあなたは
世界で独りきりだと泣いていたんでしょうね。
さみしすぎるね
こんな世界じゃ。
愛してるなんていえるはずもないのに
今もまだ、こんなに寂しい僕たちは
愛に飢(かつ)えて森をさ迷う
地に触
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