零℃/春日
嘘をつくのがじょうずじゃなくて
放り出したさよならは
たやすくきみに捕らえられた
浴槽にうかぶ泡が
細切れに入り込む光をさけるように
生まれては消えるのを何度も見た
それをつかまえるのは難しいことで
だからじぶんよりも小さな存在を
受け止めることも出来ないまま
しずかにしんでゆくのは
あたりまえのことだと思った
髪からしたたる水滴と
ふれることも許されない指先、
てれくさそうな頬のいろは
下がってゆく温度のせいだと知っている
シャワーの音がとだえたら
しんたいを包むための水温は
意味を失くし始める
もう少しよりもっと短い、
瞬間と呼
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