バッドトリップ/風見鶏
 
 アルコールは好きだが普段あまり能動的に飲むような事はしない。だから、そんな自分にとって友人との小さな飲み会というのは貴重な時間の一つだったりする。ただ、その場が楽しいからこそ、後になって訪れる反動というのもまた大きいものだったりする。その日は財布に少し余裕があったのでグリーン車に乗って帰った。物思いに浸りたかったわけでもないが、ただその日は真っ直ぐ歩けない程度にはふらついていたし、なによりも終電近くのあの人ごみというのが自分はどうにも不慣れだったからだ。
 車内は予想通り静かで、電車のカタカタと揺れる音だけが特に意味も無く響いていた。
それに加えて酔いが手伝って気分が上ずっていたわりには意識
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