むずかしい散歩道/
小川 葉
長さが
ちょうどいいので
いつもその道を歩いた
長さは長さ以上に
距離ではなく時間だったから
帰る家もなつかしい
廊下の床がゆるんで音が鳴るのは
散歩と人の長さが
同じ距離になったから
むずかしいことなど
何ひとつなかった
父と母と妹と
手をつないで歩いた散歩道
家族が
家族であることが
今はこんなにもむずかしい
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