静かな生活/udegeuneru
 
ら立ち上がる途中のような姿勢で座り
滑らかな石の割れ目に銃床を固定し、銃身の先端を額に押し付けた
石、木、鉄、肉、骨、そして脳が同一線上に並ぶ
そのイメージを男は思い浮かべた

自分と世界とが直線で繋がった気がした
そして親指を引き金にあてた
冷えた感触が男を支配した
目は見開いていたが、その目は鏡という概念を見ているようだった


視線を感じて周囲を見やると、犬が男を見ていた
男は引き金に掛けていた指を外し銃身と銃把を持った
床尾に触れていた石の割れ目がエロティックだと思った
犬と割れ目に交互に銃をむけた

もし殺人鬼が潜んでいたらと想像して
何もない繁みに銃をむけると
男は少し笑って変な表情になった
犬は繁みと男を交互に見ている





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