あい/船田 仰
ぼくの中の沸騰石はころころ
指のさきまで転がるんです
背骨を真っ直ぐにしている力よ
どうか今すぐに椅子ごとざわめきを引きちぎって
このぶつかりを
愛だと言わせて下さい
きみに言わせてください
どうか
トレイにカフェオレと財布をのせたまま
窓ガラスが贋物の断絶を
曇らせた
きみは携帯の画面を射るように
気付けば
ぼくの髪の毛
うねってる
茶色のうすっぺらいコーヒーから“時間軸のお散歩”という在り処を
メールしてる
きれぎれのひかりでブラインドを下ろす
そもそもただ窓ガラス
よければ小さく言わせてみて下さい
そばにもどってきたりしないから
本心でなくても
気分じゃなくても
無言
という現実逃避の責任を
つうかんすることないよ
まだきみはここにいる、と僕は小さく
背骨が疲れて息をはいて
ファーストフード、その彩度からグラフは比例して
さみしく
愛、と
言わせてくれた真夏日の路地裏
サンダルが
ぬげそうだから
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