Innocent/Adolescent/Utakata
あいだ
おまえは波が寄せる境目に立とうと苦心している
海に向かう風のほうへ切り終えた髪の房を手放す
＊＊＊
いつか
あなたが今までに置き去りにしたものごとに泣くとき
おまえはどこまでも不遜にその瞬間を笑い飛ばす
おまえが自分の流す血に震えるとき
あなたは目を閉じ小さく吐いた息と一緒に微かに笑う
あなたは砂に埋もれた巻貝をようやく見つける
おまえはそれを丁寧に紙で包んでポケットに入れる
小刀をどうするか少し迷ったあと
波打ち際に小さな穴を掘ってそこに埋める
＊＊＊
あの時と同じ九月
おまえは怒ったように首を伸ばして空を見る
あなたは
海辺で
＊＊＊
さよならを
言うつもりじゃなかった
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