暮色/明楽
かえるがなくから かーえろ
夕暮れあぜ道 帰り道
日なたのにおいと土のにおい
からだにまとって
家路を走る
きょうはたのしかったね
あっという間の
夢みたいな一日は
まばたきの一瞬すら
追い越す速さで過ぎてゆく
またあしたもあそぼうね
屈託のない約束で
繰り返される毎日
終わりがくるなんて
考えもしなくて
だけど
繰り返される毎日は
螺旋階段の一段で
気が付けない
長針の動きのように
ゆっくり
ゆっくり
高い場所へ子供を誘い
またあしたもあそぼうね
階段途中
いつの間にか
置き去りにされた約束が
明日への期待を秘めたまま
夕暮れ色に滲んでいる
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