あの、ね/Rin K
この街が映るのだろうか
君の語りの中では時々雨が降る
雨の雫はどうして不可算名詞
一粒ずつに名前があるのに
ジョンはわたしの右肩に乗ると
必ず左に行きたがる
わたしは自由に動けるから
すこし傾いてあげたいけれど
螺旋にはいつもかなわない
あの、ね
あなたが指さした看板が
どこにあるのかわからないとき
探すふりで海を見ている
そう、僕は
赤いうさぎを探す顔で
君の螺旋に酔っている
ジョン、それは君のかなしみ
向日葵のように回って
海へ行こう
たったひとつの海へ
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