nostalgic/春日
 


生理を迎えたときのように
始まりを得たのに何かを失った気がするのは
まぼろしだったらよかったのに


紺色のプリーツスカートを下ろす
布と肌が擦れる音がする
それでも無音なのだから
今すぐにさらわれてしまいたいと
何度わたしは思ったんだろう


カーテンがひらりと舞えば
きみが現れる気がしてた
夕日が沈んだあとの空に似た
伸ばしっぱなしの爪のいろは
もうすぐ消えてしまうから、





「おとこの人がわたしみたいにちょっと個性的な顔をした女子より、目がぱっちりしてて整った顔立ちの女の子の方がすきなのは当たり前だと思うんだよ」


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