シナモンロ-ル/COCO
 


君は 必死にボートを漕ぎ進んでいるんだね

でもボートは後ろ向きで前に進むんだ

いつか必ず 大きな船で舵をとるんだよ





あなたはいつも 牙を剥き 鋭い爪で私を威嚇して
その奥にあるガラスの心を必死で守っていたね

その姿は痛々しくて 弱々しくて
憎らしくて 愛おしかったわ

そんなあなたが初めて優しい顔してそんな事を言って

そして私の前から姿を消したのね




ねぇ私は夢を見ていたの?

だってどうしてもあなたの影が見つからないの

あなたの牙の跡も

あなたの体温も

あなたの口唇も

私の身体は何も覚えてい
[次のページ]
戻る   Point(8)