「花束」/ベンジャミン
生徒からもらった手紙には
「わたし先生がいなくても頑張ってるよ」
って書いてあった
渡り鳥のように教室をめぐる僕は
だからこそ一つ一つの授業を大切にする
うまくいかないこともあるけれど
だからこそ一つ一つの失敗をわすれない
もしも人の心の中に花が咲いているとしたら
たとえばそれが一本のバラのようだったら
うかつに触れてしまったらいけない
花びら一枚めくることもいけない
それくらい傷つきやすいから
花屋さんで花束をたのむとき
僕はいつもカスミソウをそえてもらう
僕はそんなふうで在りたい
それが優しさだとは言いきれないけれど
もしも人の心の中に花が咲
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)