サイレントミッドナイト/035/ピッピ
 

サイレントミッドナイト
夜が怖くては人間にはなれないわ、と
仔狼を嗜める狼の母親
仔狼は自動販売機を仲間だと思うが
その反応の乏しさに再びいじけてしまう
サイレントミッドナイト
どこにそんな世界があるのだろう?
スーパーでは賞味期限の近い弁当を
餌のような値段で投げ売りし
貧困層がどんどん肥えてゆく
ファットスプレッドの匂いを撒き散らしながら

沈んでいくのだわ、地球上の誰からも見える
ゆっくりと地平線が落ちていくのを

サイレントミッドナイト
太陽はいらない
チーズバーガーが身体を温めてくれる
温まった身体は、コークの潤いにやられ
間違った恋の錯覚が夜を色濃いものにする
サイレントミッドナイト
タイムカードを押す僕らの裏側で
楽園が回り続けている
目を閉じればもう少しで
そこに届きそうなのに
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