循環/狩心
 

几帳面に並べられた書物の棚
その棚に彫られた木の名前が
確かに見えた
ひかりのなかで
重なった
ただ一つの出来事
ただ一つの瞬間に
今までのすべてが
これからの何かが
重なった
その時は何も見えない
光に照らされていて
光の熱を
肌で感じるしかない
脳裏に
焼き付くのは炎のダンス
爆撃の中
骨だけで踊るその姿
熱心な信者が死んだ
戦争に反対していたのか
復讐を認めていたのか
骸骨の顔には表情がない
ただダンスが脳裏に焼き付く

暗い地下室
部屋の隅からは地下水がしたたり落ちる
ねずみもゴキブリもいねぇ
独房
捕虜の希望といえば
希望を
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