真空の/鎖骨
 







   一面に広く冷たい月の砂丘を
   春先の空に見つけること
   教えてあげたこと
   知ってほしくなかったこと
   手紙を一枚だけ書いて
   そして出さなかったこと
だからどこかから届くものもなかった















   
   束ね上げた言葉は遥か重い星の引力のために
   あるいはそこここに溢れる斥力のために屈折しながら
   永く真空を旅する
   描き上げた遠い風の絵は
   数世紀の後探査機が投げる光が
   返した影と瓜二つ
{引用=真空を駆けたかった
あの中をこそ
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