脳裏にガムが貼り付いて/ピッピ
高校時代
必須科目だった世界史の授業
窓の下ばかりを眺めていた
私たちが入学した数ヶ月前に
新校舎となったその高校は
全ての教室が一面に並んでいて
その窓の下には
大きな駐車場がただ広がっているのだった
授業中、そこを動き回るのは
せいぜい出来の悪い生徒の
煙草の煙くらいなものだった
過去は
軟弱な私たちの精神の前に
毅然と立っていたのであった
どうしたって追いつけない誰かのわがままを
教師は黒板に書き写し
赤いチョークでぐるぐると丸をつけた
昨日を振り返っても
昨日が戻ってくるわけではないと気づいたのは
いつだっただろう
サッシに反射する光だとか
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