1996/
ゆるこ
1996年
わたしの空は黄土色
乱れた線でつないだ電柱にもたれかかる緑
縁取った空気に殺意すら覚える吐息の反抗
1996年
嘘を血で丸めた
家の前で少女は死んだ
両手には金魚が握りつぶされていた
1996年
帽子は鍋蓋
雨をはじく音から曲が生まれた
鯨が食われて絶命した夜
1996年
なあ、波の音
俺の心臓のおとが聞こえるか
どんな音で動いてるんだ
教えてくれよ、ららららら
腐った果実に烙印された『1996』
魚は酸素を求めて空に向かった
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