埋葬/Utakata
 
したのだ
   それを
   抵抗したところで
   子供の力など高が知れていた
   それの息が完全に絶えたあと
   月のない庭に出た

何か
墓標のようなものがあるのだと思っていた

   そんなものはなかった

最後の土を放りこんでしまうと
あとには なにごともない黒い土だけが残る

   なめらかな喪失感

自分の身体の感触を手探りで確かめる
いま 自分の足の下で横たわっているはずの亡骸との
違いは何ひとつない
ように思える
背中の骨がひとつ欠けたような気がするが
生きていくためには何の違いもない

   赦しを請うべきなのだろうか
そも
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