ユメナマコ/石川和広
ふかい海にいきている
生き物は、わたしたちからは
奇妙なかたちに見えるけど
奇妙だと思わない人もいるだろうし
ミスターチルドレンが「深海」という
アルバム出したときも、
あれはあれで必然性があって
ちとぐっと来た
昔、ユメナマコって深海生物をみて
とてもホッとした
ピンクで
つぼみみたいで
ゆったり泳いで
かたくなくてあんな水圧に耐えられるなんて
たぶん当たり前のことって
かけがえのないものの呼び名でもあるんだ
滑らかで、たくましくて
暗い中ゆうゆうと
いいかんじに思えたんだ
花
花
花
たぶん、ああいう風に、
生きてるものに
素敵な名前付けて
いた方がいた
その名前は、ユメナマコにゆだねられ
そんなこと
あの生き物はつゆ知らず
泳いで
けしてたどり着かない太陽に
たくさんの水の層
から
その存在を
手向け
ピンク色している
戻る 編 削 Point(3)