石畳の光/灯兎
 
石畳に膝を折る ぼろ切れを纏った少女

肌は白く 心臓が透けてしまいそうなほどで
髪は黒く 何か重大な光を隠しているようで
瞳は大きく ステンドグラスを見ているようで
手足は細く 成熟した草花の香りが漂っていて

彼女は左右の指を絡めあって じっと何かを見つめていた
それは 祈りを捧げる姿にも似ている

馬鹿げている

思うけれども 一度浮かんでしまったイメージを
振り払うことなどできやせずに 
ショートピースに火をつけて 輪郭を焼いていく

もし本当に 何かを祈っているのだとしたら

そんなはずはないと分かってはいても
思い出の吹き溜まりに 触れられたような
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