屈折率/ブライアン
七つ森のこつちのひとつが
水の中よりもっと明るく
そしてたいへん巨きいのに
わたくしはでこぼこ凍ったみちをふみ
このでこぼこの雪をふみ
向ふの縮れた亜鉛の雲へ
陰気な郵便脚夫のやうに
(またアラツディン 洋燈とり)
急がなければならないのか
「屈折率」 宮沢賢治
上京して二年が過ぎた。
冬晴れの暖かな日だった。暖かな陽射しとは対照的な、冷たく乾いた風を受けた。ふと、故郷の山形は大雪の予報だったことを思い出した。駅の近くの歩道橋の上、風はビルの間を通り抜け、さらに鋭い冷たさを増していた。
東京の冬は乾いている。日
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