大きな木偶の古時計/みもる
疲れ果てて
今日が始まった人たちと
逆行して帰っても
朝日に照らされると
なぜか顔がほころんだ
時間は平等なはずなのに
僕の時計は気がつくと遅れている
一歩、右足を出すと
隣の友人や後ろの知人から
とてつもない突風がふいて
次に目を開けるとみな空の上にいる
そこはなんだか
とても楽しそうで
やっと時を解り合えた者も
あきらめ速く
土の布団にもぐりこむ
翼がなくとも
この地の果てか
足元に
見えない透明の階段があって
空に繋がっているかもしれないぜ
眠ったままふわふわと
ワープしていったんじゃ
振り返っても絶景もありゃしない
なんて
そんな考えがよぎって
小学生のように足をあげて
行進した
羽根布団にもぐりこみ
ちょっと安心した隙に
僕の時計はまた遅れるだろうけど
また明日
左足を出せばいいや
戻る 編 削 Point(3)