望みなき恋/COCO
いつか 私は夜で
星の鼓動を抱いては太陽を想った
いつか 私は昼で
鳥の歌声を聴いては月を想った
いま 昼と夜は交わり黄昏になる
見上げれば見覚えのあるアゲハチョウが
月と太陽が顔を合わせたこの空を華麗に舞い踊る
奏でる音色はまるで
黄昏を溶かした海のようで
あまりに果てしなく
あまりに綺麗で
私は涙さえ忘れ
気がつけばうわの空で
いつの間にか持ちきれないほどになった
あなたにあげる言の葉を
この海にゆっくり
ゆっくり流していた
私の胸にはひっそりと
黄色いチューリップの花が咲いている
たった一輪ひっそりと
あなたがくれた
これは最後のプレゼント
戻る 編 削 Point(10)