睡蓮の池/水町綜助
僕は睡蓮の池の絵に
名前を付けた
夕暮れ
どこかヨーロッパの石畳の町
大きな花屋が一軒あって
歩道に沢山の鉢植えの花をいくつもならべて
ほとんど黄色の花が多いみたいだけれど
どれも金塊を溶かして
のどかな町のしずかな生活の溢れる
歩道に
ブチまけたみたいだ
焼けるように
どれも美しい
目をとじれば
輪郭が痛く緑色にうかぶ
たくさんの人が
鉄のバスに乗り込んだ後
アルミ板をむき出しにして
叩き出したバスのボディは
夕空のグラデーションで走ってくるそしてきっと
鉢植えの花は風と振動に揺れてる
金属のからだは
冷えきって
その絵と僕には
距離が
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)