さくら/shu
 


胸の穴は黒く深く死に絶えた闇
白き花の咲くところ
「さくらは一度死んでから咲き始めるのよ。
 だからあんなに幹が黒いの」
「だから、あんなに花は白いのか」

花は散り緑の葉が茂る
桜は散って生き返る

「収穫収穫」
そう言って彼女は舌に花びらをそっとのせ
私の手をとり踊りだす
なにか言っているが言葉にならない
畳にさす西日に二人の影が枝のように伸びて
くすくすといつまでも揺れている





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