精神科の待合室でのつまらない妄想。(千葉県民の会で朗読したやつ)/よだかいちぞう
 
ぼくの名前は秒針
チッチッチッチッと音を鳴らして
0秒から59秒まで
時間を知らせるのがぼくの存在

ぼくはある待合室の掛け時計の中にいた
ぼくのことを見詰めている
ひとりの女の子が居た
誰だってそうかもしれないが
ぼくはその子のことが好きになった

彼女が決まって火曜日の同じ時間に来るたびに
ぼくのことを必ず見た
ちらりっとみるときもあるし
ただずっとみているときもある
ぼくはそのたびにどきどきして
クォーツで動くぼくの秒針がすこし早く時を刻んでしまっているんじゃないか
そんないらない心配をするぐらいだった

そして彼女の名前もぼくは知っていた
彼女がぼく
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