慟哭の雨/灯兎
 
を やさしく 吸い取ってくれたらいい
季節ごとの葬式には あなたと煙草があってほしい

救済の無い祈りなんてものに 思いを乗せるほどには 
愚かじゃないつもりだったけれども
絶望がカシスのように甘美で そううまくもいかない

そういえば絶望って 絶えぬ望みって書くんだ

彼らが死に近づかないことを 絶えず望んでいるように
僕が生から遠ざかることを 絶えず望んでいるように
同じところを辿ってきた願いが えいえんに届けばいい

祈りを吸い取ったみたいに 雨は段々とその重さを増して
願いに染められたみたいに 空は段々とその赤みを増して

こんな季節の終わりの遺影が あなたに届けばいい 

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