遺書/山中 烏流
・三日前の話
私が
指先のみの力で
空を切ったとき
その軌跡は
柔らかなひかりになって
木漏れ日の影の部分を
踏んで行きました
公園の片隅で
未だ、呼吸をしている
小さな亡きがらには
目もくれずに
行きました
頭上から
押し潰すかのように佇む
あおすぎるくらいに
あおく見える空は、
見詰めるほど
恐怖に変わります
人込みが心地よくなれば
その光景も
いつかは
私にとっての楽、に
なりえるのでしょうか
・今日の話
何とは無しに
裸足のままで
[次のページ]
戻る 編 削 Point(15)