名前/アンテ
 

いつもひっそりと
わたしの庭を守っていてくれた
垣根の木
なんていう名前だっただろう
とつぜん気になって
落ち着かなくて
たしか図鑑があったはず
なのに
本棚にも押入れにも
どこにも見あたらなかった
そうだ
どこかに名札がついているかもしれない
垣根に顔をつっこんで
悪戦苦闘していると
向こう側から笑い声が聞こえてきた
葉っぱをかき分けていくと
枝のあいだに
図鑑がひっかかっていた
やれやれ
いったいなにしているんだろう
でもまあ
よく枯れずに頑張ってくれたね
もう海水は来ないからね
葉っぱをなでたとたん
風に枝がいっせいにゆれた
縁側にすわっ
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