もうボクも、いい大人だけれど/よーかん
この駅に引っ越してきたばかり
ボクはまだ四年生で
思い出せないけど
たぶん二学期の途中
クラスが二つしかない
真新しい校舎の学校は
女子大の予定地と団地と貯水池に挟まれた
玩具みたいな建物だった
たぶんボクは
空を走る送電線だとか
田んぼの上を渡る大きな橋だとか
そういう田舎な
見慣れない風景にとまどいながら
真新しい校舎の
磨かなくて光っている
床とか
黒ずんでいない
トイレのタイルとか
落書きが刻まれていない
机とかに
萎縮しながら
見慣れないヒト達の前に立たされて
自己紹介をしたはずだ
まったく思い出せない
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