雉は鳴かない/
ブライアン
地下鉄に住み着いた雉は
夕暮れの人ごみに混じる
500ページを越える雑誌の角にとまり
まだ見ぬ乗客を待っている
スーツ姿の男女が流れ込む停車駅で
誰も気にとめるものはいなかった。
誰もが自宅を夢見ている。
(アルコールの口臭さえ帰宅への美しい香水のようだ)
乗り換えのご案内とともに降車する
上りエスカレーターまで争い
黄色の線の内側に人々の踵がおさまる中
雉は線上に朱い頭をのせたのだった。
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