唇から四半世紀/キリギリ
 
私だつて ゆわん ゆわん したいのよ
ゆやよん ゆやよん したいのよ
死体のように薄らほうけた肉眼に
枯れ木のようにカサんだ指先の束に
魔女は豚を追って階下へ 地下みたい
玄関を開ければ外よ ずいぶんと手間取らせるわ
シタールの音色がしたたるの
に似合う詩は波に消される砂辺に書くのに部屋だわ
伸びた髪は熱くさい高2の夏の底から
あの頃は17で処女でも普通だった
帰り道の列車に飛び込む彼のフォームは水面に疲れた蛙に似て
たわんだ人生だったわ今の私も
割れる唇にメッコール スズメ達のwar
湿痴態を踏みしめる合図 楽しみたければ楽しみ方を守りなさい
図体(ずうたい)は新時代の脳に型遅れのシーマ
サーカスはボリジョイなのに居場所のないテント
まぐわってベロに付着するものの意図に残すシミ
生だって言っても過去だわ
音が鳴っても期待しないわ
ごきげんようお粗末さま
白アリに齧られた朝なのに小便から先に進めないわ
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