旅行/水町綜助
剥げてゆく空の下
車輪まわり、まわり
金の音さらに、
さらに遠ざかりゆく
緑金の春に
*
やあ
俺は
くちべたなんだ
どういうわけだか
とても仲のよいはずの奴と話していても
ほんの五分前歩いた
路地の曲がり角
その曲がりかたのまずさ位のことで
うまく笑えなくなったりする
曇った声になるのさ
とても
うまくいかない
そんな文字盤の展開に
ほとほと嫌気もさしたので
鉄の棒をいっぽん青空へ
投げ
車輪を四つ
けとばして
春と生活を、走る
そのアウトラインを
走る
ああ
国だ
お前
枝を
なげるなよ
そんなに
俺は
[次のページ]
戻る 編 削 Point(18)