旅行/水町綜助
 
剥げてゆく空の下
車輪まわり、まわり
金の音さらに、
さらに遠ざかりゆく
緑金の春に



やあ
俺は
くちべたなんだ
どういうわけだか
とても仲のよいはずの奴と話していても
ほんの五分前歩いた
路地の曲がり角
その曲がりかたのまずさ位のことで
うまく笑えなくなったりする

曇った声になるのさ
とても
うまくいかない

そんな文字盤の展開に
ほとほと嫌気もさしたので
鉄の棒をいっぽん青空へ
投げ
車輪を四つ
けとばして
春と生活を、走る

そのアウトラインを
走る

ああ
国だ
お前
枝を
なげるなよ
そんなに
俺は
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