窓/aidanico
薫風馨る五月の窓に
ぬかるむ畦道を辿る貴方の後姿を見ていました
長い髪を靡かせて振り返ったあなたの口は
手話の解説のようにはっきりと動くのに
何回も繰り返しても聞き取れないのでした
私にはそれがまるで魔法のように思われました
私はそのままお伽話のように蛙になっても良い心地がしたのでした
髪の毛が陽射しで栗色に染まるころ、
あなたの傍を背の高い男が歩くのでした
あなたは倖せそうに
噎せ返るような窓にはもう目も向けないのでした
私にはそれがまるで魔法のように思われました
私はそのままお伽話のように二度と塔には入れない心地がしたのでした
肩の震
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