霧に恋した/soft_machine
 

ふいに年経た恋が訪れたんだ真夜中に
小川をはさんで納屋の二階の窓際に立つって
その白い歯に魅せられたんだろうね
きみが思い出せる恋ってやつは
蓮華みたいに咲いて実を結ぶ
きっと誰だってそうさ
逆光の山を背にした
おさなかった頃は今よりずっと簡単だった
おやすみの
愛の詩で

ずっと想いを隔てていたものが今朝は
山のかなた海のむこう国境のはるかなんで
きみを遠ざければ遠ざけるほど愛は
太陽に落ちていって跡形もないんだ
それが壁越しの愛ならまだましで
あっけないほどの絶望さ
雨音はまるで夜想曲で
澄ませた耳をいつまでも打つ
おはようは
咎の詩さ


 
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