大人/憂
年を重ねる度に気付かされ 恥じる
無知なことの愚かさ
自らの殻を閉じて 懸命に生きることに励めば
独りよがりだと,誰かが呟く声が聞こえた
地球と年月の巡りとはひどく残酷でおもしろいもの
幼い真っ直ぐな瞳を見つめて おもう
純粋な無知の美しさよ
自らのまだ柔らかな殻で 人を拒んで生きてみれば
自立の始まりだと,喜ぶ親の笑みが見えた
私にもきっとあったであろう幼い日々に
許されたことを思い出す
幼い私があれほど憧れた 大人 というものに
疲れた眼差しの影は決してなかったのだから
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